作業報告書アプリを作る — AppSheetを使って

インクルキャット JP
11 min readMar 30, 2021

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No-Codeツールで完全に作ることができるのか?

この記事は ” Build a Work Report App — with AppSheet”を翻訳したものです。

なぜこれを試すのか?

Google Sheetsは、すべてのビジネスパーソン、特に中小企業で働くシステム管理者にとって素晴らしいアプリです。社内のデータを管理するのに非常に適しています。
しかし、特に中小企業では、Google Sheetsも普通の社員には使いづらいものです。(言うまでもなく、Excelもそうですが)
そこで私は、社員がGoogle Sheetsを使いやすくするためのツールやサービスを調べてきました。
最終的には、No-Codeツールという良い解決策を見つけました。そこで、これらのサービスを試してみたいと思います。
以前、Glideについて書きました。今回は、AppSheetについて書いてみたいと思います。

AppSheetについて

AppSheetは、Google Drive、DropBox、Office 365などのクラウドベースのスプレッドシートやデータベースプラットフォームなどのデータソースを利用して、モバイル、タブレット、Webアプリケーションを作成することができるノーコードツールです。
Googleは2020年1月にAppSheetを買収しました。

サンプルアプリについて

AppSheetの潜在的な機能を検討するために、わかりやすいサンプルアプリを作ります。このアプリは、作業報告書を見たり書いたりするもので、ビルメンテナンスの作業員が使うようなものです。といっても、目的としては単純なものですが😅)。
デザインと構成は以下のようになっています。

画面

  1. 現場(サイト)一覧
    社員が担当している現場を表示します。現場を選択すると、次の画面が表示されます。
  2. レポート一覧
    選択した現場のレポートが表示されます。また、レポートの追加、編集、削除ができます。レポートには、撮影した写真を含めることができます。
サンプルアプリのイメージ

データ構造

AppSheetでは、スプレッドシートはRDBのテーブルに似ています。Glideと同じく、AppSheetは1つのスプレッドシートから同じ構造を持つ複数のスプレッドシートに対して関連付けることができません。そこで私はそれらを1つのシートにすることにしました。上の2つの画面に対応して、2つのスプレッドシートがあります。

  1. 現場リスト
    現場とそのスタッフの情報を表します。
  2. レポートリスト
    現場の作業報告を表しています。
サンプルアプリのデータ

構築方法

  1. AppSheetのダッシュボードページで、「Make a new app」をクリックし、「Start with your own data」を選択します。そして、例えば「Field Service」のようなカテゴリーを選択します。「Choose your data 」をクリックします。
  2. Select a fileダイアログで、先ほどの2つのリストを含むスプレッドシートを選択します。
  3. すると、AppSheetは適切なデフォルトアプリを構築します。素晴らしいですね。
アプリの作成フロー

Work Reportsシートの追加

Glideとは異なり、AppSheetはデータソースから1つのシートしかインポートしません。そこで、もう一つシートを追加する必要があります。「Add a table for “Work Reports”」 をクリックしましょう。

Work Reportsシートをテーブルとして追加する

現場リストとレポートリストの関係を作る

現場を選択したときにレポートリスト画面を表示するためには、参照(Reference)を作成する必要があります。

  1. DataセクションでColumnタブをクリックし、Work Reportsを選択します。
  2. Site nameの左端にある鉛筆マークをクリックします。
  3. TypeのドロップダウンでRefを選択します。
  4. Source tableのドロップダウンで、参照するテーブルを選択します。
  5. Doneをクリックします。
  6. 変更内容を保存(Save)します。
参照を作成する

現場リストの列を見ると、AppSheetが自動的に追加した逆参照の列が表示されています。ここでは、「Related Work Reports」という名前が付いています。この参照用列には、関連するレポートリストレコードのキー値が含まれています。

注:親テーブルの参照用列はKEY列であるべきだと思われます。そうしないと、サイトリストのレコードを選択したときに、関連するレポートリストデータが表示されないからです。なぜ必要なのか疑問です。

自動的に逆参照列が追加される
レポート一覧画面を表示できるようになった

写真アップロードのサポート

写真のアップロードを可能にするには、Work ReportのPhoto欄のTYPEImageに変更する必要があります。その後、レポートの編集画面で写真をアップロードできるようになります。

Photo列のタイプを変更する

Glideは自社のGoogle Cloud Storageに写真をアップロードしますが、AppSheetはあなた自身のGoogle Driveに写真をアップロードします。アップロード先フォルダは、データソースとなるスプレッドシートと同じフォルダです。この動作は、アップロードした写真を簡単にコントロールできるので気に入っています。画像の相対パスは、レコードのPhoto列に書き込まれます。

AppSheetはあなた自身のGoogle Driveに写真をアップする
画像の相対パスがPhoto列に書き込まれる

不必要なアクションの無効化

Glideと違い、AppSheetはAdd, Update, Deleteのアクションを自動的に追加します。これらの動作は私も好きです。しかし、必要のないアクションもあり、特に現場一覧画面では、これらのアクションを持つべきではありません。そこで、これらのアクションを削除しました。

  1. 左側パネルのBehaviorをクリックします。
  2. 必要に応じて、「Show system actions」をクリックします。サイト一覧画面でDelete アクションをクリックします。
  3. 次にAppearanceをクリックし、「Do not display」をクリックします。
  4. EditAddのアクションも同様にします。
  5. Saveボタンをクリックします。
Deleteアクションを無効化する

ユーザーを自分のデータに限定する

そのためには、 Security Filtersを使用することができます。セキュリティフィルタを使用する前に、Security > Require Sign-Inペインで Require user authenticationオプションを設定しておく必要があります。ユーザーがサインインすると、AppSheetはそのユーザーの電子メールアドレスを知ることができます。

  1. 準備の第一歩として、Google Sheetsを使って個々のメールアドレスを現場リスト含む列(「Email」という名前)を追加しました。そして、テスト用のメールアドレスを入力します。
  2. DataセクションのColumnsをクリックし、Site Listエリアの「Regenerate Structure」ボタンをクリックします。
  3. 左側ペインのSecurityをクリックします。
  4. Security Filtersタブをクリックします。
  5. Site listのSecurity Filterをクリックし、「[Email] = USEREMAIL() 」と入力して保存します。
  6. これで、ユーザーは自分のデータへのアクセスが制限されます。
ユーザーがアクセスできるデータを制限する

注:「セキュリティフィルタ」は、PROプラン($10/アクティブユーザー)が必要です。

その他

  1. Work Report 画面を直接開く必要はないので、UX ペインで画面を削除することができます。
  2. 不思議なことに、サイトリスト画面には、サイトリストレコードにリンクされたワークレポートレコードに含まれる画像が表示されています。これは必要ありません。そこで、ビュータイプをDeckに変更しました。(実は、サイト一覧画面から画像表示を削除する方法が見つかりませんでした。)
Work Report画面を削除する
サイトリスト画面のタイプを変更する

アプリの公開

  1. Glideと違い、AppSheetはデフォルトでユーザーへのアクセスを制限しています。そのため、Userペインでユーザーを追加する必要があります。
  2. アプリを公開するには、Not Deployedをクリックする必要があります。すると、デプロイメントチェックが実行されます。今回は、アカウントの状態がFREEプランだったので、デプロイを進めることができませんでした。前述のSecurity Filter機能を使用しているので、デプロイするにはPROプランにする必要があります。(ここでやめることにしました)
アクセスできるユーザーを追加する
FREEプランではこのアプリはデプロイできない

注:Security Filterを使う場合も使わない場合も、テストやデプロイが終わったらプランをアップグレードする必要があります。

結論

AppSheetは、ノーコードでアプリを作るためのよく考えられたツールです。非常に多くの機能があり、技術文書もよく書かれています。Glideと比べると、AppSheetは堅実な印象を受けます。しかし、いくつか気になる点があります。

お金がかかる

Security Filter機能を使うには、少なくともPROプランを利用する必要があります。月に10ドル/アクティブユーザーがかかります。20人のアクティブユーザーがいる場合は、月に200ドルを支払う必要があります。ちょっと高いですね。

いくつかのバグ

このアプリを作ったとき、AppSheetのアプリビューでいくつかの奇妙な動作に直面しました。ほとんどのケースは、アプリビューに設定が反映されなかったり、データの設定をしても空になってしまったり、というものでした。今のところバグがあるかもしれません。

制限された関係

Glideのように、AppSheetでは、1つのスプレッドシートが複数のスプレッドシートと関係を持つことができません。多くの場合、業務報告書は現場ごとに分けられているので、AppSheetを使って印刷可能な報告書のようなものを作らなければならない場合には、別の仕組みを用意しなければなりません。

AppSheetは、いくつかの問題点はあるものの、中小企業のシステム管理者にとっては素晴らしいサポーターだと思います。簡単なアプリで試してみることを強くお勧めします。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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Written by インクルキャット JP

情報格差の壁に挑む(挑みたい)個人アプリ開発者。

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